スイス出身のジュエリー作家、オットー・クンツリ(Otto Künzli)(1948-)The Red Dotと題されたピンブローチです。コンテンポラリー・ジュエリーの分野を代表する作家として知られる、オットー・クンツリの作品。一般的にギャラリーでは、既に売約済みの作品には、小さな赤い丸を付けて購入できないことを示します。この作品はその仕組みを利用して、有名な美術館やアートギャラリーの建築物の外観、来場者などにこの所有権の象徴である赤い丸を取り付け、権力の仕組みを変換させるような面白みがあります。日本での展覧会の際に限定販売された「月と日」を表現した赤・白バージョン。購入後、自宅保管していました。新品同様のものを探していらっしゃる方はご遠慮くださいませ。クンツリは日本で美術館規模の個展が行われた数少ないジュエリー作家のひとりで、2015年に東京都庭園美術館で回顧展「オットー・クンツリ展」が開催されました。1960年代に誕生したコンテンポラリージュエリーにおいてコンセプチュアルジュエリーの概念を打ち出した作家と言われている。Otto Künzli / オットー・クンツリ1948年スイス・チューリッヒ生まれ。1965-1970年チューリッヒの Schule fur Gestaltung にてジュエリーを学ぶ。その後ミュ ンヘンへ渡り、1972-28年 Schule fur Gestaltung にて Herman Ju¨nger に師事。2016年まで Akademie der Bildenden Ku¨nste Mu¨nchen にてジュエリー科の教授を勤めた。人間や社会にむけた鋭敏なまなざし、着想の先鋭性とウィットに富んだ表現、そして造形の美しさは普遍的な魅力をそなえている。現代において極めて影響力の高い、アートとしてのジュエリーを創造するジュエリー作家のひとりとして知られる。ジュエリーが持つ身体との関係性、さらに他者や社会と結びつけるコミュニケーションの触媒としての性格を巧みに利用して、ジュエリーを社会のメタファーへと変換させてきた。一貫してコンセプチュアルなアプローチを続けながらも、そのユーモア溢れる表現はコンテンポラリー・ジュエリーの世界にとどまらず、多くの人々に受け入れられる。作品は国内外の多くの美術館に所蔵されている。